2024.05.27
2024.06.14
ECマーケティングとは?従来のマーケティングとの違いや成果につながる施策を解説
「ECマーケティングとはどういうもの?」
「通常のマーケティングとの違いは?」
EC事業への参入を検討している方の中には、こんな悩みや疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
ECサイトを対象としたECマーケティングは、効率的に売り上げに直結させられる優れたマーケティング手法です。しかし、従来のマーケティングとは異なる専門的なノウハウを要するため、そのままでは有効活用できません。
本稿では、ECマーケティングの概要を解説します。上手な集客方法や成果につなげるコツを紹介するので、自社の利益アップを目指す方はぜひ参考にしてください。
ECマーケティングを効率的に進めるには、専門的なスキルを要します。何から始めればよいかわからずお困りの方は、10年以上のEコマースノウハウをもつイラストリアスにぜひご相談ください。
ECマーケティングとはECサイトに特化したマーケティング
ECマーケティングとは、ECサイトに対象を絞ったマーケティングを指します。
ECは、英語の「electronic commerce(エレクトリックコマース)」の略です。日本語にすると「電子商取引」と訳され、インターネット上で行われる取引全般を指します。
ECは、ネット販売・eコマースと呼ばれることもあります。取引の対象となるのは、物やサービス全般です。
一方、ECサイトとは、ECを行うすべてのサイトを指します。具体的な例としては、以下のものがECサイトに該当します。
- ネットショップ
- オークションサイト
- オンライントレードサイト
- コンテンツ配信サイト
現在は、ECサイトといえば、いわゆるネットショップを指すことが多いです。
ECサイトには、以下の種類があります。
種類 | 例 |
---|---|
自社ECサイト | ・ユニクロ |
モール型ECサイト | ・楽天市場 |
ECのビジネスモデルとしては、以下のものが挙げられます。
ビジネスモデル | 概要 |
---|---|
BtoC(Business to Consumer) | ユニクロや楽天など、企業が消費者に対して販売するビジネスモデル |
BtoB(Business to Business) | 企業同士で原材料や部品などを販売するビジネスモデル |
CtoC(Consumer to Consumer) | メルカリやヤフオクなど、消費者同士で販売するビジネスモデル |
ECマーケティングでは、ECサイトの種類やビジネスモデルを踏まえ、適切な施策を打つことが大切です。
ECマーケティングと従来のマーケティング・WEBマーケティングの違い
ECマーケティングと従来のマーケティング、WEBマーケティングとの違いは、一言でいうと対象となるマーケティング範囲の違いです。
それぞれの概要は以下の通りです。
マーケティングの種類 | 概要 |
---|---|
従来のマーケティング | 従来よりある、実店舗を対象としたマーケティング |
WEBマーケティング | インターネットを利用したマーケティング全般 |
ECマーケティング | WEBマーケティングの中でも、とくにECを利用したマーケティングに限定 |
従来のマーケティングは、実店舗における来客動向や需要の分析を行い、商品開発や販売戦略に活かす手法を指します。
一方のWEBマーケティングは、インターネットを利用したマーケティング全般を指します。ECサイト自体やECサイトへと誘導する施策、インターネットを利用して実店舗への集客をうながす施策などを幅広く含むのが一般的です。
おもな目的はすべて同一で、商品を効率的に売るための仕組みを作って顧客の購入をうながし、自社の利益につなげることです。
ECマーケティングの特徴
ECマーケティングの大きな特徴として、以下の3つが挙げられます。
- 非対面で接客する
- 商圏が広い
- データ分析がしやすい
それぞれ具体的に解説していきます。
1.非対面で接客する
ECマーケティングは、ネットショップのように非対面で接客する点が大きな特徴です。
ECマーケティングは、基本的にはパソコンやスマートフォンを介して取引を行います。問い合わせやトラブル発生などのイレギュラーを除き、顧客と直接やり取りすることなく売買が完了することが多い傾向が見られます。
2.商圏が広い
商圏が広いのもECマーケティングの特徴です。
インターネットは世界中に普及しており、環境さえ整備すれば世界中との取引が可能です。現在では翻訳ソフトの発展も目覚ましく、通訳を介さずともある程度は意思の疎通が図れます。
工数を抑えつつグローバル市場への参入が容易に可能な点が、ECマーケティングの大きな利点といえます。
3.データ分析がしやすい
ECマーケティングは、顧客の行動データが取得しやすく、購買プロセスを可視化して分析しやすい特徴もあります。
従来のマーケティングでは、商品やサービスの企画・開発から販売促進、顧客サポートまで、リサーチを元にした推測が要でした。予測と実情を完全に一致させるのは、難易度が高い状況にありました。
一方のECマーケティングは、顧客の行動履歴や購買履歴など、取得した膨大なデータを分析すれば、顧客のニーズや嗜好を容易に把握できます。ECサイトを訪れる顧客に合わせたマーケティング施策がしやすい点が、ECマーケティングの大きな強みです。
しかし裏を返せば、ECマーケティングの成功には、大量のデータを分析して活用するスキルが必要不可欠といえます。
ECマーケティングのプロセス
ECマーケティングには、3つの重要なプロセスがあります。
- 集客
- 成約(コンバージョン)
- リピート
それぞれの内容は次の通りです。
1.集客
まずは自社サイトへの集客を行います。
どんなに性能や品質がよくても、人目につかなければ商品は売れません。膨大なECサイトのなかから、いかに自社サイトに目を留め訪問してもらうかが初めの一歩であり、施策の肝です。
集客のKPI(ケーピーアイ=プロセスの達成状況を確認する指標)は、サイトアクセス数です。サイトアクセス数を集め、多くのユーザーが閲覧するサイトにすることが重要です。
2.成約(コンバージョン)
次に、成約(コンバージョン)を目指します。
コンバージョンとは、サイト上で顧客が起こす、企業側の利益につながるアクションのことです。たとえば、商品販売サイトであれば購入が、コンサルタント紹介サイトであればユーザー登録や資料請求、問い合わせがコンバージョンに該当します。
コンバージョンのKPIは、CVR(コンバージョン率)です。CVRは、サイトへアクセスした訪問者の中から、コンバージョンに結びついた割合を指します。
CVRの数値が高くなるよう、成約をうながす施策を講じましょう。
3.リピート
集客・コンバージョンの流れができたら、最終的には新規顧客の獲得にとどまらず、リピーターの獲得を目指します。
新規顧客の獲得時に比べ、リピーターの集客はコストを抑えられるのが一般的です。より利益につながりやすいことから、順調な経営にはリピートの獲得が不可欠です。
KPIは、リピート率で判定します。計算方法は、一定期間のリピート客数÷累計新規顧客数×100です。
リピート率が高いほど、安定した収益が見込めます。
ECマーケティングにおける集客方法
ECマーケティングにおけるおもな集客方法は、次の3つです。
- SEO施策を行う
- 広告を利用する
- SNSで情報発信する
具体的な内容は次の通りです。
1.SEO施策を行う
ECサイトへの集客には、SEO施策が有効です。
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化を意味します。GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果で上位に表示される状態にすることです。
検索エンジンの検索結果で自社サイトが上位表示されることで、必然的に人目につきやすいメリットが得られます。クリックされる機会が増えてサイトアクセス数が増加し、集客につなげられます。
SEOの一環として有効な施策には、コンテンツマーケティングが代表的です。
コンテンツマーケティングとは、ECサイト利用者のベネフィットにつながる記事や動画を用意し、それを集客に活かす手法です。検索サイトから、まずは該当コンテンツへの流入を呼び込み、ページ内のリンク箇所から自社製品のLPサイトやECサイトへと誘導します。
一般的に、ECサイト自体にSEO施策を施すのは非効率といわれています。集客はオウンドメディアを利用したコンテンツマーケティングに任せ、ECサイトはセールスに特化して調整するのが効率的です。
2.広告を利用する
ECサイトへの集客には、WEB上で広告を利用するのも有効です。
WEB広告の例として、以下が挙げられます。
広告の種類 | 概要 |
---|---|
リスティング広告 | ・特定キーワードの検索に連動して、検索エンジン上に表示される広告 |
ディスプレイ広告 | ・記事内に表示されるバナー広告 |
SNS広告 | ・Facebook・Instagram・LINE・XなどのSNSに配信する広告 |
アフィリエイト広告(成果報酬型広告) | ・アフィリエイターが運営するサイト上に掲載する広告 |
インフルエンサーマーケティング | ・インフルエンサーに商品情報を発信してもらうことで宣伝につなげる手法 |
自社の広告予算やブランドカラーなどをもとに戦略を練り、適した広告を選択するのが肝要です。
なお、2023年10月より景品表示法の取り締まりが強化されました。広告であることを明示しないステルスマーケティング(いわゆるステマ)は違反行為となり、処罰の対象となるため注意が必要です。
参照:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
3.SNSで情報発信する
自社のSNSを運用し、情報発信して集客につなげるのも一つの方法です。
SNS上で自社の新製品やお役立ち情報を紹介し、興味をもった顧客がサイトを訪問するよう誘導します。
SNSの性質上、情報発信とともに双方向でのコミュニケーションが可能なため、顧客の信頼感の獲得につながることも利点です。
SNSの活用法にはコツがあります。ただやみくもに情報発信をしても集客にはつながりにくいため、戦略的に運用することが大切です。
ECマーケティングでコンバージョンにつながる施策
ECマーケティングで成果を出す、つまりコンバージョンにつながるおもな施策としては、次の4つが挙げられます。
- 適切なUIに整える
- LPを調整する
- 初回の成約に力を入れる
- カゴ落ち対策を行う
それぞれ詳しく解説していきます。
1.適切なUIに整える
コンバージョンにつなげるには、ECサイトを適切なUIに整えるのが大切です。
UIとは、ユーザーインターフェースの略で、ユーザーとサービスをつなぐ接点を指します。画像やテキストなど、サイト上でユーザーの目に触れるものすべてが対象です。
広義には、キーボードやマウス、タッチパネルまでを総称してUIと呼ぶこともあります。
パソコン向け・スマホ向けを意識してサイトのレイアウトを設計し、顧客が離脱しにくい工夫をすることが必要です。たとえば、以下のようなサイトはユーザーの離脱につながります。
- 画面が見にくい
- 情報を入力しにくい
- 入力中にエラーが頻発する
必要に応じて、UIに以下の要素を導入するのも有効です。
- 商品画像の3D表示
- 仮想試着機能
- VR・ARの利用
- 紹介動画の挿入
- チャットボットをはじめとした接客ツールの導入
いずれにせよ、顧客が便利にサイトを利用でき、入力を迷いにくくする工夫が必要です。顧客データを分析した結果をUIに反映させるのも、コンバージョンへと導く方法です。
2.LPを調整する
LPの最適化を目指すのも、コンバージョンには有効です。
LPとは、ランディングページを指します。
広義のLPとは、読者が最初にアクセス(着地)するページです。狭義には、営業トークを再現した縦長のページを指し、注文や問い合わせなどダイレクトなアクションに結びつける目的をもちます。
LPの設計時には、商品の魅力を伝えつつ、読者の離脱を防ぐ工夫が必要です。CVRを意識したLPに調整しましょう。
3.初回の成約に力を入れる
ECマーケティングでは、初回の成約がスムーズに運ぶように力を入れましょう。初回で成約しそうな顧客を失う可能性が高いためです。
初回の成約前には、一般的にメールアドレスの設定や会員情報の登録などが発生します。
しかし、顧客視点だと情報入力は手間がかかり、面倒な作業だと感じやすいです。初回の登録が面倒で成約に至らないおそれがあります。
また情報入力を求めることでサイトの信頼性に疑問を感じ、他のECサイトに流出することもあります。
楽天やAmazonなど大型のモール型ECサイトは利用者が多く、実績と信頼があるため、初回利用時の心理的なハードルが低いです。
スムーズに登録・成約まで運ぶよう、UIの整備に加えてサイトの信頼性をアピールしましょう。次のような施策も有効です。
- 初回クーポンの配布
- タイムサービス
- 送料無料キャンペーンの実施
- 配送日の指定に対応
- 豊富な決済手段の用意
顧客のベネフィットにつながる施策を意識するのが大切です。
4.カゴ落ち対策を行う
カゴ落ち対策の検討も重要です。
カゴ落ちとは、いったんは商品をカートに入れながらも放置し、そのまま離脱してしまうことを指します。カゴ落ちした要因を分析して改善すれば、コンバージョンへと結びつきやすいです。
たとえば、以下のようにユーザーが購入をためらう要因が無いかを調査し、必要に応じて対策しましょう。
- 配送日が遅い
- 配送の時間帯が選べない
- 使いたい決済方法が選べない
- サイトの運営者情報に不安を感じる
カゴ落ちした顧客にフォローメールを送付し、再アプローチをうながす施策も有効です。
ECマーケティングにおけるリピーター施策
ECマーケティングにおいては、顧客分析を行うことでリピーターの獲得を目指すのが重要です。
具体的には、以下のような施策が効果的です。
- 会員特典(ポイントやクーポンなど)の設置
- イベントやキャンペーンの実施
- メルマガの配信
- SNSでの発信
- リマーケティング広告の活用
リマーケティング広告とは、該当のECサイトを訪れた経験のあるユーザーに対して広告を表示可能な機能です。自社製品に興味をもった顧客にアピールできるため、費用対効果が高いメリットがあります。
ECマーケティングは奥が深く、知識ほぼゼロの状態から成功に導くには難易度が高いものです。効率的に成果につなげたいのであれば、プロに任せるのが賢い選択といえます。
株式会社イラストリアスは、10年以上のEコマース経験をもつプロフェッショナル集団です。広告運用代行、SNSを活用した集客なども得意としています。
客観的な視点から効率よく利益につなげたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
ECマーケティングの注意点
ECマーケティングは、以下の4点に注意が必要です。
- 安定運用まで時間がかかる
- データ分析を行い戦略を練る必要がある
- 顧客の顔が見えない
- 本やセミナーを利用した知識の習得がのぞましい
それぞれ具体的に説明します。
1.安定運用まで時間がかかる
ECマーケティングは、準備からコンバージョンに到達するまで、比較的時間がかかる傾向が見られます。
広告を活用すれば、短期的に成果をあげられる可能性もあります。しかし、やりすぎると経費がかさむため、場合によっては経営を圧迫しかねません。
安定運用のためには、中長期的な計画を見据えてプロジェクトを進行するのが得策です。
2.データ分析を行い戦略を練る必要がある
ECマーケティングの成功には、データ分析が欠かせません。
データをもとに集客し、コンバージョンやリピーターの獲得に活かす戦略が、ECマーケティングで成果をあげる近道です。
たとえば、サイト上で顧客が離脱した箇所や、クリックした購入ボタンがわかるデータがあります。このようなデータを分析しサイトを調整すれば効率的です。
また、自社のECサイトを利用している顧客を分析すれば、顧客の特性に合わせたサイトへも調整できます。
代表的な顧客分析法としては以下が挙げられます。
分析法 | 概要 |
---|---|
CPM分析 | 購入金額や購入回数など顧客の購入データをもとに顧客の傾向を把握する手法 |
RFM分析 | 最新購入日・購入頻度・累積購入額の3視点から顧客をグルーピングする手法 |
また、競合サイトの分析には、以下の方法があります。
分析法 | 概要 |
---|---|
3C分析 | 顧客や市場・競合・自社の3視点から自社の現状を客観的に把握する手法 |
4P分析 | 製品・価格・販売場所・販促から自社の強みを分析する手法 |
状況に合わせて上手に活用しましょう。
3.顧客の顔が見えない
ECマーケティングは、顧客の顔が直接見えない点に注意が必要です。
実店舗でのマーケティングでは、実際に顧客と接触する機会が多いものです。コミュニケーション時の肌感覚をもとに戦略を練ることもあります。
しかし、ECマーケティングでは、デジタル的に得られるデータがすべてです。
ECモールへの出店時には、手に入る顧客情報が限定的なため対策が取りにくい場合もあります。中には信ぴょう性が低いデータもあるため、データの分析には注意が必要です。
4.本やセミナーを利用した知識の習得がのぞましい
ECマーケティングについては、本やセミナーを利用して知識を習得しておくのがのぞましいです。
ECサイトの運用時には、十分な知識が無いと成果に結びつきにくい傾向が見られます。
コンサルタントを頼って運用する場合も同様です。ある程度の知識があれば、担当者と相談しながら効率的に戦略を練りやすいメリットがあります。
ECマーケティングはプロへの依頼が効果的
ECマーケティングとは、WEBマーケティングの中でも、とくにECサイトに特化したマーケティング手法です。商圏が広いため、上手に活用できれば効率的な企業運営に役立ちます。
しかし、ECマーケティングを成功させるには、データを分析してそれを活かすノウハウが必要不可欠です。プロへの依頼を視野に入れつつ、ぜひECマーケティングを自社の競争力アップに活かしてください。
ECマーケティングは、一朝一夕で得た知識だけでは成果に結びつきにくいものです。お困りの方は、10年以上のEコマース経験をもつプロフェッショナル集団・イラストリアスにお任せください。
弊社は、集客・コンバージョン・リピーターの獲得まで効率的にサポート可能です。ECマーケティングを自社の利益に直結させたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
EC運営、DXに関するお悩みなら、私たちにぜひ一度ご相談ください。